7 モーニングキス。
彼女の魅力を 一つだけ述べよ、と 言われたら。
オレは 『素直じゃないところ』 と 答えると思うな。
…普通、『素直じゃない』 ってのは 欠点と捉えられる箇所かも 知れないんだけどさ。
瑞香の、この素直じゃないところは、オレにとって たまらなく可愛いくて、もう
どうしようも
ない。
…負けず嫌いで すぐに主導権を取ろうとするところも。背伸びして、大人っぽくみせようと
頑張ってるところも。
そのクセ、隙だらけで、まるで 幼い子供みたいで。
危なっかしくて 頼りなくって。あぁ、もう オレが付いててやらなきゃ、って
思わせる要素
てんこ盛り。…なのに 「姉さんと呼べ」 なんて命令してくる。
きっと、一緒に暮らす事にならなきゃ、彼女の可愛さを オレは見つけられなかったと思う。
うわべの彼女しか見えなかったら、きっと オレの心の琴線には触れなかっただろうな、あの
派手すぎるメイクも、年齢に合ってない髪も、短くしすぎの制服スカートも、女っぽすぎる
夜の香りも。
でも、だからこそ。今の オレの心境は、まるでインディージョーンズだ。…誰も知らない
秘境の宝を発掘した、そんな感じ。
これを幸運と思わずに、何をラッキーと思えと言うんだろう。…ひょんな運命の巡り合わせ。
ひょんな事から オレの家族になった彼女。この広い地球上で、こんな偶然の糸を 引き
当てた自分のオヤジにも、感謝を贈らずには いられない。
─────じゃあ、舐めてよ。…口でして?
オレのジョークに、彼女は いたたまれないほど 泣きそうなカオをした。
…ごめん、瑞香。
オレ、お前の言う通り、ちょっとイジワルかも知れない。…お前の そんなカオを見てしまうと、
実は もっといじめたくて たまらなくなる。
瑞香はギュッと硬く目をつぶり、オレの下肢を覆っていた綿のトランクスを
両手でえい!と
引き降ろした。
───…かなり、驚いた。予想外の展開。
だけど、まさか その泣きそうなカオのまま、唇を そこへ寄せられると、さすがに ちょっと待って
くれ、となる。
だって どう見たって、そんな事 した事もないだろ?
さっきから こうしてシーツの上、彼女の肌を辿りながら 首を傾げる。…もしかして、確信
は無いけど、やっぱお前 初めてじゃないのか…?
ホントに男と 付き合った事ある…?
ひねくれ者の瑞香だからな…、また虚勢 張った?考えられなくもないな。
だけど そんなの…、ヤっちゃえば すぐにバレるのにさ。まさか バレないとでも思ってるんだろ
うか?本気で?…いや、それとも やっぱり経験アリ…?どっちだ…?
「………んじゃ 代わりにさ、避妊具 付けて?」
ちょっと試しに そんな事も言ってみた。
「 ! 」
─────うわ、真っ赤だよ、リンゴみたい。
今にも泣き出しそう。…うわ、それは困る…っ、頼むから 泣かないで…!
オレに背を向けて うなだれた肩より長い髪を、オレは 「ごめんごめん」 、と
なだめるように
撫でた。
「───…瑞香、」
つい、イジワルしてしまいたくなるんだよ…、ホントに ごめん。
口には出せず、代わりに 心の中でそう謝って。再び彼女の肩を、包み込むように
後ろ
から抱き締めた。頬に、そっとキスを贈る。
あぁ ダメ。可愛すぎて オレのほうが目まいを起こしそう。
「冗談だって。…こっち向いて」
フワリと抱いた 腕の中の温もりに、天にさらわれでもするような 圧倒的な至福感が、襲い
掛かってくる。
彼女の事、自分が どれほど好きなのか、嫌というほど 思い知らされる。
その彼女が、今 オレの手の中に居る。
…これ以上の幸せなんて、きっと どこにも無い。
もう 溢れ出す想いを止められなくて、オレは さらうような口唇付けをせずにはいられない。
「………好きだよ………、」
そう呟くと、
「…ホントだよね…?」
不安げな瞳は より一層 迷うように揺れる。…なぜ?
「───…うん、ホントに好き………、お前の事、ずっと 好きだった」
「信じていいんだよね………?」
なぜ、そんな事 言うの?
オレは心の中で問いながら、もう一度 心から彼女に告げる。
「うん、信じて………、オレは お前が好き…。」
余りにも 恥ずかしがって顔を背けようとするから、けっこう 色々と大変だった。
多分、オレの思い違いでなければ これはおそらく初めてだし。…絶対、痛くないようにして
あげないと…。そう思うけれど、すぐに身体を縮めて 腕で隠そうとするし。気を遣うな…。
眉を寄せて、何かに耐えてるような表情。
こんなカオされると、訳もなく 征服欲を掻き立てられる。
オレの中で、相反する二つの感情が 渦を巻き始めてる。
…もっと お前の事、めちゃくちゃにしてしまいたい。今すぐ オレのものにして、もう
泣こうが
抗おうが 構うことなく強引に このまま踏み荒らしてしまおうか。
…だけど同時に、今までの人生で味わった事も無いほどの 極上のパラダイスを
お前に
感じさせたい。
オレは イジワルなほうの自分を押さえつけながら、痛みも感じさせないほど 彼女の身体を
砂糖菓子のように 甘く溶かす事を選択した。
指先に伝わる弾力と、瑞々しさ。
徐々に 汗を刷き、時折 苦しげに浅くなる呼吸。
「─────…っぁ、あ…ん………、」
喉元を吸い上げると、耳に 彼女の吐息が響く。
それだけで オレも、気が狂いそうな衝動に襲われる。
それでも耐えながら、ていねいに 彼女を懐柔していく。
ベッドの縁に背を預けたまま、彼女は もう、こうして座っているのも やっとだ。
オレは片方の腕を腰に回して 抱き寄せる。…しなる背骨。反らされてライトを反射し、
オレンジ色に浮かび上がる顎。
唇を下方に移動して、鎖骨にも舌を這わせた。
そうしながら そっと、スカートの中にも手を忍ばせる。
丈の短いスカート。…いつも無防備すぎる、彼女の太腿。
いつか 彼女と知り合う前、駅のベンチで 彼女の太腿が、ホームを行き交うオヤジどもの
目の端にさらされていて。オレは その事に全く気付いてないこいつに、苛立ちのような思い
を抱いたものだ。
手のひらで撫でると、あまりにもサラリと フレッシュな感じがして、悪い事をするような気分に
駆られた。
瑞香は ビクリと緊張を走らせる。
彼女の視線が、自分の太腿の内側にある オレの手の甲を じっと見ている。…オレは
そんな瑞香の表情を見ている。
少し後ろめたいような気分になって、オレは彼女の注意と視線を そこから逸らさせるため、
掬い上げた唇に またキスをした。
必死に オレに応えようとしてくる 彼女の舌先。
だけど あまりにもたどたどしくて、ぎこちない。
「……………ッ!っ、───…、」
彼女の 下肢の付け根に触れたら、これ以上ないくらいに ピンと 空気が張り詰める。
ひるんで 逃げを打つ腰。…ごめん、でも もうオレも、さすがに ここからは引き返せそうも
ない。
今すぐ 無理やりにでも繋がってしまいたいギリギリの衝動を 抑えるだけで精一杯だ。
彼女の下着は 濡れていた。
何だか その事だけが、オレにとって 唯一の救いに感じた。…だって そうでなければ、さすが
に これだけ全身のオーラで拒否されると 自信も萎えるよ。最大限 優しく扱っているのに、
それでも 気を許して肩の力さえ抜いてくれないんだから。
衝動を堪えながら キスをしているものだから、オレのこめかみは また目まいに襲われ始め
た。それでも何とか 自分の本能を抑え付けて───…、まだダメだ、と 自らに何度も
言い聞かせる。
下着の上から、彼女のそこを刺激した。…ゆっくり、絶対 驚かせないように そっと。
「───…っ…ン…、」
キスの合い間に、彼女の唇から 吐息が漏れる。
今も上気して、熱に浮かされたような 頬。伏せられている まつ毛。
何度も 空いた手で髪に触れる。なだめるみたいに。
そのまま下着の上から、少しだけ 入り口に指を立てた。
「…ッ、」
彼女が 短く息を飲む。
───…ホントに 大丈夫なのかな………、不安になってくる。
直接 触れてもいい………?
キスしながら そう訊いたら、訊かないでよ、と 上ずる細い声に抗議された。
そっと 下着の中に手を入れて触れた。まさぐると、そこは 灼けるように熱かった。…潤んで
いるそこ。指で刺激する。
「やっ、………んっ、ぁ…あン…、───…っ、」
やっぱり逃げ腰になって 後ずさろうとする彼女。無意識なんだろうけど。
「嫌なのか…?」
確かめずにはいられないよ。…不安になる、そんな切迫した表情。
そしたら、瑞香は 顔を横に振る。
「じゃあ、全部 脱いでよ…」
少しだけ 腕を離す。彼女はうつむき、いたたまれないほどの仕草で 全裸になると、上目
遣いにオレを チラリと見た。オレは彼女の そんな表情を間近に見ながら、寄せられている
眉根に そっと懇願した。
「…瑞香…、オレも もう限界みたいだ───…、」
「………えっ…?」
僅かに開かれる、瞳。
その表情ごと、彼女の腰を 浮かせるみたいに抱かかえる。
向かいあっていたオレ達。オレが半ば 抱き上げるみたいに 彼女を引き寄せたものだから、
彼女はシーツに ひざ立ちになる。オレにしがみついてくるような格好。
その首筋にも キスをしながら、その背や腰を撫でた。
背後から再度、彼女の太腿の内側や、曲線のラインを 何度も 指先に刻むように辿り、
その愛しい身体を 強く抱き締めれば、彼女も オレの首に回していた両手に 力を込めて
くれる。
触れ合っている素肌から お互いの熱を感じた。
今日の瑞香は、香水の香りも、もう なくて。入浴後の せっけんの香りだけだった。
彼女の濡れたそこに、今度は 背後から触れた。
「───…ぅ、や、や…っんッ!」
直接 指を立てると、尚更 しがみついて、全身に力を込めてくる。
「だから…、力 そんな入れてちゃさ、…できないから…、」
探るように そのまま指を進めると、中は とんでもない灼熱の世界。
絡み付くように 狭くて、ホントに 痛がらないように出来るのか、もう自信なんて
まるで
無い。
「…んん…っ、ンッ、───…っハ…ァ…、」
オレの肩に、彼女の吐息が触れる。
すっごく耐えてるのが 判る。
オレは 彼女の逃げる腰を尚も引き寄せ、中指を奥まで入れた。
痙攣したように 背骨がこわばる。間髪入れずに、その背をまた なだめるように抱き締め
る。
見下ろせば、彼女の背中ごしに、その中にある 自分の指が見えていて、たまらなく淫靡
だった。
ドクドクと脈打って 生き物みたいにうごめく内壁。
ゆっくりと中指を ギリギリまで引き抜いて、また差し入れた。
瑞香は ずっとオレにしがみついてる。彼女の胸が、オレの鎖骨の辺りに触れている。
「………痛くない…?」
オレが 彼女の耳元にささやくと、それだけで感じるのか、彼女は ビクリ、と震えた。中も
連動してて、オレの指先にまで 痺れにも似た感覚が波紋のように伝わる。
「ちょっと 痛い…?」
「う…んっ…、ちょっと………、」
彼女を慣らすために 何度か ゆっくりと抜き差しした。…もういい加減、オレのこめかみも
激しすぎる目まいに襲われ、おかしくなりそうだった。だけど あと少し。…徐々に
彼女の
中は、こわばりを解いて 緩んでくる。…オレは尚も ゆっくりと挿入し、ギリギリまで引き抜い
て、また入れた。
「───…っ…、ンっ、…っ…、」
やっと 彼女の肩からも 力が抜け始める。
もうダメ、我慢にもほどがある…!よく ここまで耐えてるよ、我ながら 叫び出したいくらいの
感覚。さっき そこいらに放ったはずの避妊具を 手探りでシーツの上から見つけて、性急に
口で封を切る。今も オレの中指は、彼女の中を懐柔するように そこにある。
「………瑞香、キスしよう、」
そう言うと、そっと両腕の力を緩めた彼女が オレを見下ろした。…熱に浮かされて 僅かに
充血した、潤んだ瞳。…それだけで オレの魂はどこかへ さらわれそうになる。
吸い寄せられるように 口唇付けて。…重なり合った唇は 深くなって。
───…そのまま、彼女の腰を捉えて、指先を抜くと同時に 一つになった。
「や…ッア!」
彼女は短く叫んだ。…それを また、キスで封じた。
オレは両腕で 彼女の腰や背を さっきよりももっと強く掻き抱きながら、全霊を込めて
その
腕から 彼女に強く愛を伝えた。
出口を失い、荒れ狂うようだった全身の熱も、一気に 彼女に向かって引き絞られてゆく。
瑞香が好きだ、こんなにも 好きだ─────…。
オレの全身が そう訴える。
痛いほど。
出口を求めて 濁流は嵐のように水かさを増した。
「アッ、アッ、やっ、…あっ!…んっ、」
「───…痛い?ごめん、」
オレは繋がりながら、彼女の耳元で謝った。もう これ以上 そっとなんて無理だった。
彼女は バラ色した頬のまま、何度か 首を横に振った。
眉間は寄せられている。
「………ごめん、…だけど…、好きだよ…、好き…瑞香…、」
幾度も キスを交わした。溶け合うように一つになった身体は、もう どこまでがオレなのか
分からないくらい。彼女の中は これ以上にない天国。
「ダメ…、オレ もう…、気がヘンになりそう…、お前の事が好き…、」
花びらみたいな唇。身を屈めて、首筋や鎖骨、形のいい胸にも キスをした。
「や…んっ、あ、あたしも………っ、大好き…、や…ァ、あっ、あンっ、」
彼女の腰が ひときわ大きく反らされる。
新鮮な肌は 汗を刷き、どんどん その熱を高ぶらせた。
もう彼女の眉間は 寄せられてはいなかった。
ピュアな彼女。
「すごく綺麗………瑞香…」
高校生同士のセックスなんて、普通たった一回で終わるわけもなかった。
取り合えずちょっと休んで、それでも夜は長いんだから、後でもう一回襲ってやろう、と
オレは一人で勝手に決めてかかる。
彼女は それほど出血もしなかったので、オレは 「やっぱり 初めてじゃなかったのか?」と
首を捻らなければならなかった。
シーツに ほんの少し付いた血を見ながら、オレは 「…生理始まった?」 と訊ねた。
瑞香は これ以上ないほど オレの腕や、逸らして捩った背中も ポカポカ殴りつけてきた
から、オレは また笑いを堪えながら、心の中だけで 「なんだ、やっぱ 初めてなんじゃん」
と呟いた。だけど 彼女の名誉のために、騙された事にしておいてあげよう。…もう
痛みが
ないんなら、それだけでもいいか。
彼女の首に腕を回して、そのまま 髪を引き寄せるみたいにして 寝そべって。また色んな
とこにキスの雨を降らせながら、オレは改めて 幸せを噛み締めていた。
…見た目より 全然、純情で 遊んでない瑞香。
だけど メイクもしてなくって、こんな風に オレの腕の中で嫌がる子ネコみたいに
もがいてる
こいつは、それなりに年相応かなぁ。…いや、忘れてたけど オレより約1歳年上だっけ。
高校を卒業する頃、オレは ようやっと18になるけど、彼女は その春19になる。
「…ヘンな感じ………。」
「─────…なにがっ!」
まだ 恥ずかしさが抜けないのか、すぐに食ってかかってくる 赤い頬。
「…いや、忘れてたけど 姉さんだっけ…と思って」
「そっ、そうだよっ!弟ッ!」
「姉さんー」
甘えるみたいにして、彼女の胸に 顔をうずめる。
弾力があって フワフワな、白い胸。
「…どうだった?………オレのエッチ」
「 ッ! 」
うわ、可愛いっ、…いや可哀想っ。すげー真っ赤になってる。そんなカオ しなくてもいい
のに。悪い事してるみたいじゃないかよ。
「…5段階評価で何点?…星いくつ?」
あ、怒ったみたいな顔で 考えてるっ、カワイイ。
そんな表情を見ながら、さわさわ 腰の辺りを撫でる。
「………まぁ、おマケしてあげて 星4つかなっ!」
憎まれ口利いてくる瑞香も、抱き締めずにいられないほど 可愛い。可愛くて、可愛すぎ
て、オレ、やっぱり マジで気が狂いそう。
「─────…そうなんだ………。星4つかぁ。有り難い」
…なーんて言うと思うなよ。
オレは僅かに 身を浮かす。彼女の手首を シーツに縫いつけ、その赤い顔を見下ろした。
「…ふーん…、じゃあ今から もう一回、チャレンジマッチさせて。今度は星5つ ゲットして
みせるから」
「 ! 」
彼女は今さら オレの口車に乗せられた事に気付き、しまった、というカオをしている。
だけど もう遅い。
オレは 彼女の首筋に噛みつく。
「やっ…やだっ、ウソだよね… ?!」
「何が」
「チ、チャレンジマッチって…、つまり、もう一度………、」
「さっきより 気持ちよくしてみせるから、姉さん」
「ウソーッ!そんなつもりで言ったんじゃないってばっ!離してよッ!」
もがき始める、オレの腕の下にある 身体。
だけど もう、彼女を墜とすのなんて カンタンだ。
白い胸を揉みしだきながら、耳たぶを噛む。
そのまま 色付いた乳首を指先で弄んで、もう片方の手は 彼女の背筋に。
「やァ………んっ、」
たちまち弛緩する肢体。もがいても、大した力なんて 入らない。
「そんな風に身体 捩ったら、余計に 『して』、って言ってるみたい」
「違…ッ、」
いちいち反応して、赤くなる。
「やんッ!」
背骨にそって 指先でそっと撫で上げると、ビクリと腰を反らすから、
「ホラ、胸 突き出してるもん」
そんなイジワルを言って、余計に怒らせる。
「累ッ!」
「─────…好きだよ………瑞香」
「ッ、」
彼女の勢いを 封じ込める。
これ以上ないくらい、心を込めて甘く 愛を告げた。
彼女の肌に 指で触れながら、その肌触りに、ため息のような 花びら色の至福を感じた。
「…もう一回、しよ?」
「………っ、しないっ」
「───…だめ?」
オレは さっきみたいに回した腕で、彼女の下肢に、背後から 探るような指をあてがう。
そうしながら、もう知ってしまった彼女の 敏感な箇所を、からかうように キスで誘惑した。
「…夜は 長いんだからさ………」
「ヤだ」
「………何で。…瑞香だって さっき あんな感じてたクセにさ」
「………ッ!うるさい…ッ!」
オレを はねのけようとする腕。巧みに抑え付けて、そのまま捕らえた獲物みたいに 組み
敷いて、舌先で 感じる箇所をそっとなぞった。
たちまち彼女の表情から ニュアンスが変わり出す。
「─────…」
オレはこんな風に 僅かに細められる彼女のまぶたや、困惑に揺れる視線を 一瞬たりとも
見逃したくない。…だから じっと見逃さないように 観察する。
仰向けにして、再び 下肢を懐柔しながら、視線は 彼女の瞳から絶対に離さずに。
「…あッ、ヤ…んっ、」
彼女が耐え切れず、赤い頬を逸らした。
次第に切迫して 浅くなる吐息。
それを 目で追いながら、彼女の胸の先端にも 舌の先で僅かに触れた。
「…っう、」
…再び潤む 入り口。…ゆっくり、焦らしながら そこに指を埋めてゆく。
もう、さっき1度達しているから、オレは先ほどのような こめかみを襲う 激しい圧迫感と
目まいに 苦しむ事もなかった。
指が入ってゆく。
…彼女の表情の変化を、熱く目で追う。
硬く立ち上がった胸を 甘く噛みながら、入り口手前にも 体液を塗り込めるようにして
ゆっくりと触れた。
「う、…アんっ!」
とうとう彼女が まぶたをきつく閉じてしまう。
まつ毛が震えている。
「………なぁ、ホントに 星4つだった…?」
「もう…っ、いいじゃん、…っ、き、かないでよ…ッ、」
押さえつけていた手首。…そのまま 甘えるみたいに、指先を 彼女の指に絡めた。
彼女は オレの手を握り返してきた。
「…ホントに もう一回したらダメ?」
「ダメッ」
「─────…オレ、今までに どれくらい耐えてたか 知ってて言うのか?」
「知らないよッ、…あ、ヤ…っ、ァんっ!…ァッ…、や、…あ、たしのっ…せいじゃ、ない
じゃんっ…、」
「………いや、お前のせいだ。…お前が可愛すぎるのが 悪い」
「ウソ、…ばっかり…ッ…!ひゃ、…ぅ、」
「─────…なぁこれ、めちゃくちゃ感じてる、って 言わない…?」
「言わないッ!ばかァ!」
もう一度 繋がって。…シーツの波の上、彼女は 最初の時より、もっと 切なげに瞳を
揺らした。
オレは 彼女を見下ろしながら、もう オレから離れられないくらいに、虜にしたいと願った。
…瑞香が オレ以外の誰の事も、もう 目に入らないくらいに。
こんなにも焦燥に近い独占欲を 強く抱いたのは、彼女に対してだけだった。今まで、
誰にだって 感じた事はない。
独り占めしたくて、たまらなくて、彼女を最奥まで貫いた。
そんな 子供じみた感情も、自分らしくなくて─────…彼女を抱きながら、自分で
自分に驚いていた。
至福と切なさが 交互に訪れ、胸に込み上げた。
お前が 好きだよ─────…、世界で一番 好きだよ…。
ずっと オレだけのものでいろよ………。
彼女の肌は、まるで 夏の砂浜だった。サラサラ零れる、うっとりと白い砂。
…その後の オレ達のこと。
社員旅行から 揃って戻って来た 父と母。
オレ達は 1階リビングのカウチでイチャついた後、折り重なるように まどろんでいたせいで、
知らぬ間に陽が落ちて、部屋が薄暗い青に包まれていた事にも 気付いていなかった。
「………ただいま」
「 ッ! 」
背後の、リビングの扉を開ける音と気配に、慌てて 飛び起きる。…目がくらむ、いきなり
灯された部屋の灯かりに。
「…何してるの、あなた達」
母の声。
「………え…っ、…と、あ、そのっ、ダ、ダンスの練習ッ!体育祭の出し物ッ!」
「……………………。」
─────…瑞香は 口元に手を当てたまま 父母から顔を背け、何も言えない。
…オレは バクバク鳴っている心の中で、せめて服を着ててよかった、と思った。
瑞香は 朝寝坊するようになった。
…ようやく、彼女も この新しい家と家族に慣れて、本来の自分に戻った、という事なの
かも知れない。
多分 オレ達の関係が変わった事を、両親は何となく 気付いていると思う。…特に、
母は。
「…ごめんね、累くん、瑞香 起こしてきてくれない…?」
言われて、階段を昇り、彼女の部屋へ足を向ける オレ。
目が痛くなるような ピンク色の洪水。…よく こんだけたくさんの小物を集めたものだ、と
何度見ても 感心してしまうよ、彼女の オモチャ箱ひっくり返したみたいな部屋。
「………瑞香、朝だぞ 起きろ」
─────オレは なかなか起きない彼女に、とびきりのモーニングキスを贈る。
これが 今のオレの、幸せな日課。
───── 「モーニングキスは弟から。」・終 ─────
|
| ・あとがき。 秋津島 珠子 |
最後まで読んで下さり、本当にありがとうございました。
こちらの作品は、謹んで200,000番のキリ番を踏んで下さいました、片桐 瑞香さまへ。
あまり細かいリクエストが無かった分、プレッシャーも少なかったのですが、「瑞香」のキャラが
お気に召していただけるのかどうか、やや不安です。階段から落ちかけたり、お風呂場で
見られちゃったりなど色々と不恰好なシーンもあり、申し訳ございません。どうか瑞香さん、
「同性同名の別人」という事でお読みくださいませ。
そして。今回のこのお話は、多くの会員のかたからチャットルームにてストーリーなど、ネタの
リクエストを頂き、そちらを盛り込める限り盛り込ませて頂きました。
瑞香さんのリクエストが少なかった分だけ、他のかたのリクエストも織り交ぜて…ある意味、
これもコラボレーション?という感覚です。
累くんが水泳部だとか、「オレしか見ないようにしてやるよ」という萌えセリフなどなど。ラストの
「ダンスの練習!」というオチまで、たくさんのエピソード提供、ありがとうございました。感謝
致します。
お話の都合で、本当は累くんの夏休みの試合シーンなども入れたかったのですが…
それはまた、いつか機会がありましたら、という事で。
何かのご縁でストーリー作りに参加してくださった会員の皆様、今ここを読んでくださって
いる、画面の向こうにおられるあなたへ。
どうぞ明日も今日以上に、ささやかなハッピーに満たされた一日になります事を…。
たまこ。 |
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「モーニングキスは弟から。」−7 Written by; Tamaco Akitsushima |
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