8 月の下、姉を背負う。
─────夜11時すぎ。
まだ、瑞香は帰っていない。
オレは 次第に募る不安と苛立ちに、とても じっとしてなんて居られなかった。
それでなくても 明日は高校最後の引退試合。この大会で 何としても自己ベストを更新
したいし、個人種目では絶対、上位に食い込みたい。
もちろん、そんな事を考えると すんなり眠りにつけるわけなんてなかったけど、今 オレの頭
の中を支配しているのは、明日の大会の事じゃなく、瑞香の事だ。
別れようなんて、成り行きながら口に出したのは オレのほうだった。
もちろん、何ていうのか…売り言葉に 買い言葉。
瑞香がオレの事を信頼してくれてない事も 苛立ちの原因だったし、何だかあの時は 何も
かもが タイミング悪すぎて。
…正直、水泳の事でも手一杯なのに、あいつの事まで考えなきゃならないのに
疲れた。
普段は、瑞香の子供っぽいところとか ワガママも意地っ張りも、けっこう可愛く思える。
だけど、やっぱり ショックだった、…元彼か何か知らないけど、今も繋がってる あの男の
存在。
瑞香、ホントにオレの事 好きか………?
「あーっ、くそ、」
自室のイスから立ち上がり、ため息と共に、ベッドに背中から落ちる。
だけど 寝られる訳などないんだ、せめて あいつが帰って来ない事には !!
─────瑞香………、もしかして今も、あの男と会ってる…?
あいつの唇に 他の男が触れてる… ?!
あいつの腕に、あいつの肩に、あいつの首筋に………あいつの肌に…っ ?!
もしも今夜、あいつが このまま戻らなかったらどうしよう。
─────…オレがこうしてる間、お前 今 どこで誰と過ごしてる… ?!
「─────………。」
オレは知らず、爪を噛んだ。
くっそ、こんなんじゃ オレ、明日まで眠れない…!
おとついも昨日も ふてくされて部屋に閉じこもってたクセに、何で 今夜に限って出掛ける
んだよ…っ ?! 大会前夜の 今日に限って…! ホントにもうっ、頼むからこれ以上、オレを
ヤキモキさせないでくれよ…!
オレは耐え切れず、階下の母に尋ねた。
「瑞香、何か今日は 中学の同窓会だとか、って。遅くなったら 友達のお家に泊めてもらう
から心配いらないから、って。…ごめんね 累くん、あのコ…明日の大会、ホントに 応援に
行かないつもりなのかしら」
「……………ッ、」
クソ、同窓会だって…?! そんな話 聞いてない、ウソだ、絶対 ウソに決まってる…っ!
ダメだ瑞香、オレやっぱり お前を他の奴に譲れないよ…!だけどもしも もうオレ達の関係
がダメだとしても…、あんな形で終わるのか… ?!
オレの不用意な一言で?
つい弾みで口から漏れてしまった、心にも無い 別れのセリフで…?
オレ達、全然ちゃんと対話しないまま… ?!
オレは お前が好きで、お前も オレの事が好きだって言ってくれていて…、多分 それは間違
いないのに。なのに お互い 信じきれずに終わる… ?!
結局、気付いてなかっただけで オレは、『姉弟』 という言葉の持つ特別さに
心を預けすぎ
ていた。
絶対に手に入らないような、揺るぎない絆を手に入れたと錯覚してただけだった。
バカだ、オレは 本当にバカだ。
だってオレ、お前無しで これから先どうすればいいのかなんて 考えられないよ…!
そんな事にも、今日まで気付けなかった。
…ただのケンカで済むはずだったのに。何となく以前みたいに、「ごめんな」
って。お互い
バツが悪く微笑い合えば ただそれだけで、すぐに関係は 修復出来るはずだったのに。
今、オレは生まれて初めて お前を本当に失くすかも知れない恐怖を 感じてる。
「─────………。」
オレは迷った末、瑞香の友人のミドリに電話した。
ミドリは 家に一人で居た。瑞香とは 夏休みに入ってから話してないと言う。
「ワカと一緒かも」
そんなミドリの言葉を頼りに、オレは彼女から ワカの番号を聞いた。
「………え?瑞香?知らないけど、どうしたの?」
初めてワカと話した。彼女には、ミドリから番号を聞いた事を謝って。
「遅いから迎えに行こうと思うんだ、申し訳ないんだけど 瑞香のケータイに連絡取って、
居場所 聞き出してもらえない?」
母の言ってた 『同窓会』 を 端から信じてなかったオレは、こんな遠回しな事をしなけれ
ば、今 瑞香が本当はどこに誰と居るのか、それを知る手立てが思い浮かばなかった。
ワカは オレの電話の内容と雰囲気に尋常じゃないものを察して、少し慌てた。…けれども
余計な詮索よりも先に、瑞香に連絡を取ってくれた。
ワカからの連絡を待つ ほんの数分間は、じっとりと纏わりつく 熱帯夜の湿気のように間延
びしていて、オレを極限まで ヤキモキさせた。
…しばらく経って 再び掛かってきた電話の主の声は、先程よりも かなり低く沈んでいた。
「…心して聞いてね、あたしに怒らないでよ、…瑞香のケータイ、男が出たよ?」
「 ッ! 」
「だから あたしにキレないでってばっ!…でもね、何か ボックスで何人かと一緒みたいだっ
た。…瑞香、そうとう飲んで 潰れてるみたいだね。動けないみたいよ?」
オレは行くしかなかった、そのボックスに。
でなきゃ今夜 オレは、気が狂う。
その場所でオレはこの後、決定的な何かを 知らされる事になるのかも知れない。…もう
オレと瑞香の関係が、元には戻れないのだと思い知らされるような 事実を。
けれど、それでも行くしかなかった。
息せき切って入ると、そこには 6、7人の男女が居た。
「……………ルイ ?!」
「 ?! 」
見知らぬ女の子達に いきなり そう名前で呼び捨てにされて、ちょっとカチンと来る。
「………あの…すみません 弟ですけど…、姉を迎えに来たんだけど」
「なぁーんだっ、ルイじゃないのかー」
途端に その場に居た全員が盛り下がる。何が何だか 意味が分からない。
オレは 瑞香の姿をそこに捜した。けれど目を走らせても、見当たらない。おかしいなと思っ
て、ようやく気付いた。テーブルに突っ伏している 白いノースリーブが瑞香だ。…髪が切ら
れていて、一瞬 誰だか分からなかった。
瑞香の隣りには、いつかの あの長身の男。…あの時は遠目で チラっとしか見かけなかった
けど、多分 間違いない。金色の髪。
酔いつぶれて テーブルに両腕を投げ出し伸びてしまっている瑞香の背中に そいつの大き
な手があって、それを見ただけで こめかみにカッと血が昇った。その男が シートからオレを
見上げて説明する。
「…瑞香、酔い潰れてるから せっかくだけど連れて帰れないよー、だけどオレ達 朝までここ
に居るから、立てるようになったら オレがちゃんと責任持って こいつ送り届ける。だから
心配ご無用」
その口調と眼差しが けっこう誠実で、余計に オレを苛立たせる。
「─────…いや、いいよ、今連れて帰る」
「あぁー、ムリムリ、」
その場に居た全員が オレに向かってそう言った。
「もーちょっとしたら 起きると思う、さっきまで もう、すんごい勢いで泣きわめいてて、やっと
この状態まで治まったんだから。…でも 起きてもさ、連れて帰るなら おんぶでもしなきゃ
ムリだと思うよ?足に相当来てるもん」
別の女の子もそう言う。
「……………………、」
「まぁ とりあえず、座れば?弟」
多分、苦虫を潰したような表情をしていたオレに、瑞香の隣りを陣取っている
金髪のクソ
ヤローが 微笑いながらそう促した。
他のメンバー達は エントリーしていた曲で再び盛り上がっていた。
「…姉に あんまり飲ませないで下さいね」
オレは 何となく目が合ったそのクソヤローを流し見ながら 大人っぽい言葉を選んで 嫌味を
言った。…出来るだけ穏やかな微笑み付きで。
嫌味を返してくるかと思ったそいつは、意外にも オレに対して謝罪した。
「悪かった、みんなで慰めてるうちにさ…!なぁ、」
周囲に同意を求める。
「そうそう こんなはずじゃなかったんだけど…、ホントは もっと早くにお開きにするはずだった
のに、瑞香チャンポンで ガンガンいっちゃってさぁー、こんなグデングデン状態で
家に帰す
わけにも行かないしー、」
「何か瑞香 失恋したとかってー。知ってる?弟クンー、」
一瞬、ギクリとする。それでもオレは平静を装い、首を振る。
「ルイって ヒドい男にひっかかってェー、」
「─────………。」
オレは返答に困る。
「だけど瑞香、すっごい変わったもんね、中学の時と比べると」
「そうそう、…何ていうか、危ないよ これじゃあ、隙アリすぎっ」
「だから ルイみたいな悪い外国人にダマされんだよー、」
うーん…。悪い外国人か………。
「弟クンっ、一曲歌う?」
「えっ、オレ ?! いえ いいですよ、オレは」
「ねーねー、弟クンは彼女居るのー?今 何年ー?大人っぽいよねー?」
「てか、よく見ると かなり格好いいよねー、超モテそう!」
「あれ?でもさー、瑞香に弟 居たっけ?」
「あっ…えっと…オレのオヤジと 姉の母が再婚して…、」
「あ !! じゃあ 義理の姉弟になったんだっ !!」
「えっ?高校どこ?まさか瑞香と一緒 ?!」
「キャー !! 何か 少女マンガみたぁーい!ってか、キワドくない ?! ヤバいよーそれ !!」
凄まじくはしゃいだ声に 質問攻めに遭い、オレは ややたじろぐ。…瑞香、早く起きてくれ
よ…っ、さっさと ここから連れ出したいよ、お前の背中に乗せられたままの アノヤローの手
も、さっきから気になって仕方ないし…!
「キャー !! ウソー !! 瑞香いいなぁー、あたしもこんな弟 欲しいよーっ !!」
「ホントだよォ、サイコーだよねー、顔いいし 優しいし 迎えに来てくれるし…!何で瑞香、
こんなに恵まれてるのに しょーもない外国人に引っ掛かったんだろ ?!」
「ねェ、そう思いませんー?弟クンもー」
「はぁ………。」
クッソ、オレ お前の頭の中では どんなヒドい男になってんだよ !!
オレは その場に20分ほど居たけれど、もう限界だった。
「オレ、もう このまま姉を連れて帰りますから…!みなさんはどうぞ 朝までごゆっくり楽しん
で下さい」
オレは腰を浮かせると、全く動く気配の無い 瑞香の肩を揺さぶった。
「………ん………、」
まるで軟体動物みたいに伸び切って、タコの足みたいな緊張感の無い腕は どうしても
テーブルから離れてくれない。
「累のバカぁ………、」
「─────…っ、」
そう寝言で呟かれて、さすがに胸が チクチク痛む。…何だよ、ホントに オレだけが悪いの
か?
「瑞香、んな 二股ヤリ逃げ野郎なんてキッパリ忘れて、オレと付き合うかぁー」
別の男が そう言ってのけぞり、笑った。オレのこめかみは ピクリと反応してしまう。
二股ヤリ逃げ男…っ ?!
さすがに眉が歪んでしまった。すぐ横から投げかけられている視線に気付いて
そちらに目を
やると、例のクソヤローが 意味深な視線でオレを見てた。
オレは心の中で叫ぶ。
瑞香、お前こそ 隣りに居るそいつと 今 どーゆー関係なんだよ ?! お前こそ
二股だった
じゃねーかよ ?! オレと付き合ってんのに キスしてただろ ?!
それでも とにかく顔だけは平静を保って、今は一刻も早く ここから彼女を連れ出す事だけ
に集中した。どうやっても目を開けてくれないから、仕方無く 彼女の両肩に手を掛けて
まず上体を起こす。
クソヤローが首の座らない伏せられたままの瞳を 背後から抱き留めた。…彼女は
彼の
胸に 半ばしなだれかかるような格好になる。
………それにしても、今夜の瑞香は 別人みたいに可愛くて綺麗だ。思わずドキリとした
ほど。
薄いさくら色にきらめく リップカラー。…その唇が ほんの僅かに開いてる。
目元も いつもみたいにどぎついメイクじゃないし、ヘアスタイルが変わったせいか、見ている
だけで ヘンな気分になりそうなほど、瑞々しくって魅力的で。…やや傾いたままの 彼女の
頬に、短くなった髪が掛かってる。白い首筋や耳たぶが その髪から覗いてる。力の抜けた
肩、すんなり伸びる腕。…女の子っぽくて真っ白いカットソー。…胸の下あたり、みぞおちに
は──…男の支えてる腕。その灼けて骨ばった手と 彼女の純白の衣服のコントラスト。
途端に すっげーカンに障って、「どうも」 と そのまま表情を変えずに 彼女の膝の下と脇に
手を入れると、半ば無理やり クソヤローの元から あいつを引き上げた。
「キャー、お姫様抱っこだァ、」
女の子達が 頬を上気させて色めき立つ。だけどオレは そんな事より、抱き上げたせいで
彼女のミニスカートが これ以上 太腿をさらさないかと、そっちのほうが気が気じゃなかった。
生足に やたらかかとの高い靴を履いている。…だけどよかった、ミュールじゃなくて。足首に
紐をグルグル巻きつけて縛るタイプの靴だから、落とす心配だけは無い。
「いーなァ、あたしも あんな事して欲しいっ」
「憧れるー、ってか 超 絵になるよ弟クンー、」
「どこまでも少女マンガしてるよぉー、いいなぁ瑞香 うらやましいー」
男連中が その場に居た女の子達に向かって 「ムリムリ、お前ら ムリありすぎ!」
と一斉に
毒づいた。
オレは何とか 渾身の力を振り絞り、最大限に甘い微笑みを その場に残った全員に向け
て送る。
「お世話を掛けて すみませんでした、…じゃあ お先に失礼します」
一礼して背中でドアを押し開け、そのまま廊下を エレベーターホールまで直進した。内心
心の中はグラグラに揺れているのに、最後まで そつなく対応して去った理由は、オレのプラ
イド以外に無い。
「待てよ、」
「 ! 」
瑞香を抱いたまま振り返ると、さっきのクソヤローが 廊下を追って来た。思わず険悪になり
かけてしまう。
「………これ。瑞香のな。」
「あっ…、」
彼女の小さなバッグを、彼女のお腹の上に乗せると、両手をポケットに突っ込み、改めて
こちらを真っ直ぐに見て来る やや強い視線。…くっそ、拍子抜けさせやがって…っ。
「───…すみません、ありがとう」
視線だけは 逸らしたら負けな気がして、オレも ずっとクソヤローのカオを 穴が開くほど
見つめ続けた。
オレとは 全くタイプの違う彼。着痩せして見えるオレより、体格は良く見えるか。服装だっ
て 全然違う。髪、短くて逆立てた 金髪。耳にピアス。印象の強い 眉と目元、荒削り
だけど 決して暴力的ではない空気。集団の中でリーダー格になる者独特の、 華やかな
雰囲気を持ってる。多分こいつは、異性以上に 同性から信頼を置かれるタイプ。
何か言われるのかと、絶対に引かない心積もりで 奴の瞳の奥を見つめていたら、肩透か
しみたいに エレベーターが チン!と 到着を知らせて音を立てた。
奴がふいに言う。
「…明日、何か 大会あるんだって?」
「 ?! 」
「─────…大変だな、お前も。前日の夜にさ。…ごめんな こいつ酔わせて…オレの
せいだ」
「───…いえ、」
「んじゃ!お疲れさん」
ニカっと白い歯を見せて笑った クソヤローのカオは、やけに決まってて 男のオレが見ても
眩しいくらい絵になっていて。…その事が余計に オレをムカつかせた。
「───…っん………、」
瑞香は オレにおんぶされて、道々ようやく目を開けた。
「…アレ………?」
すぐには事態が飲み込めず、ボンヤリしていた彼女。…やがて覚醒と共に 酔いが一気に
引いてきたのか、オレの背中の上で やたら焦って暴れ始めた。
「もう、いいから じっとしてろって、家まで このまま帰るから」
「でもっ……… !! る、累…ッ !!」
「でもじゃねーよ…、もう。」
オレはつい ため息を漏らしてしまう。
「ご、ごめんっ、あたし歩くよ…っ、ごめん、ホントにいいからっ !!」
「ムリだって、それにあと半分の距離だから 担いでやる。じっとしてろ」
「─────………。」
ヘンな感じだった。くすぐったいような、今すぐ逃げ出したいような。
きっとそれは 瑞香も同じだったろう。
住宅街に差し掛かると、街灯を残して ほとんどの灯かりがなくなった。夏の夜の気配だけ
が そこにやたらハッキリと存在している。…オレの足音が アスファルトに乾いた音を立てて
いる。
「…累…あたしと もう口利いてくれないと思ってた………」
「─────………。そんな訳にも行かないだろ、姉弟なのに」
「…そっか………。…あ、明日、大会だね………」
「───…うん。…もう今日だ…日付変わった…」
「…最後まで迷惑掛けて………、」
「─────…もういいよ………」
「…累、…傷治った…?」
「えっ…?」
「背中の… 『ガリッ』 」
「…あぁ、───…うん、もう ほとんど分からないと思うよ」
瑞香の両腕が オレの首に回されている。彼女は オレの肩口に顔をうずめ、多分
少し
泣いていた。
「…ごめん………迷惑ばっかり………、ごめん…、」
「─────………。」
くぐもった声。オレの首筋に 彼女の声が触れる。
「何とか言ってよォ………」
「─────…何とかって…、」
だって どう言えばいいんだよ。どう言えば………。
「…微笑ってよォ………、前みたいに…っ…、」
「……………………、」
オレは思わず 苦笑するしかない。
その気配に、背後にある肩の上の頬も 泣きながら僅かにホッとする。
「…その髪、似合ってる」
「─────………。」
今度は瑞香が 黙り込んだ。
「…瑞香こそ、何とか言えよ………」
オレはまた 僅かに苦笑する。
背中にある ぬくもり。
…熱帯夜。じっとりと纏わりつく 夜の濃厚な空気も、地面から立ち昇ってくる 気の狂い
そうな熱も。…瑞香が背中に居ると、もう どうでもいいや、って 許せる気がした。
もう 灯かりの消えている1階。
そっと玄関をくぐると、「累くん?帰ったの?」 と 母のくぐもった小声が聞こえた。
「うん、瑞香も一緒。…ただいま」
オレも 同じボリュームの声で低く返して、瑞香をそこへ座らせ 靴を脱がせてやると、自分も
靴を脱ぎ たたきからまっすぐ続く階段へと 再びおんぶで足を掛けた。
オレの部屋を通り越して まっすぐ瑞香の部屋の前まで行き、彼女をそこで一端
背中から
降ろす。そしてドアを押し開けると、もう一度 彼女を横抱きにした。
「………っ、」
ほんの少し身を硬くする瑞香を そのまま彼女のベッドにそっと横たえる。
「───…じゃあな。…おやすみ」
「………あっ…、累………、」
彼女が手を伸ばし、僅かに何かを言い掛けたけれど、オレはそれ以上 彼女の顔を見るの
がつらくて、足早に その場を後にしていた。
「おやすみ」
押し殺した声で そう告げるのが精一杯。オレの言葉と オレが彼女のドアを閉めたのは
同時だった。
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★甘栗のちゃちゃ。
ちいちゃん:すまんよ〜、甘栗はネタ切れだよよよ〜ん。ふ〜、んじゃ〜小話を一つ。
顔が白く、胴も白く、尾っぽも白い犬が居ました。それはどんな犬でしょう?
まさき:(ポカ!)何つまんねー事言ってんだ!早く帰って来い!
ちいちゃん:イテテテ…。次回へつづくっ。累、大会ガンバレ。彼女が例え応援に来てくれなく
ても。
まさき(ポカ!)てめ〜!今何気に嫌味ぶっこいただろ! |
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「弟以上、恋人未満。」−8 Written by; Tamaco Akitsushima |
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